パソコンで使用しているSSDやハードディスクが急に読み込みできなくなったり、RAIDやNASが開けなくなった、
また間違えて必要なファイルを消去してしまったり初期化で全削除をした、といったアクシデントが発生した際に、
データの復旧をしてもらう時にかかる料金は、条件の違いによってどのような相場になる?といった疑問について。
データ復旧における初期診断と値段の見積もりとは?
まず、失ったデータを取り戻す際に専門業者への注文でかかる値段の相場を知る前に押さえておきたい注意点として、
データ復旧の作業は全部一律ではなく、様々な要因によるケースバイケースで料金が異なってきます。
たとえば同じ二次記憶装置で発生したデータ障害でも、間違えてボリュームからファイルを削除してしまう論理障害と、
装置自体の回路が故障して開けなくなる物理障害のトラブルでは、復旧の値段が大幅に違うケースが多くなります。
そこで専門業者のデータ復活のサービスでは、実際の復旧作業に移る前のマシンやストレージへの初期診断と、
具体的なお値段の見積もりを先に行ってもらえる、便利なサポートが実施されています。
データの障害の種類で異なる救出作業の料金の相場とは?
次に、データが開けなくなる障害の種類によって異なってくる、ファイルの救出作業で掛かる料金の相場について。
まずコンピューター上でデータが開けない状態になる原因は、大まかに「論理障害」と「物理障害」に分かれます。
そしてこの論理障害・物理障害の中でも、さらに状態によって軽度から重度まで、
トラブルの深刻さとデータ復活の難易度がまた異なっていきます。
そして障害が軽度であるほどデータ復旧にかかる値段は低く、重度の問題であるほど高額になっていきます。
軽度から中度のトラブルである「論理障害」とは?
最初に、全般的に軽度から中度のデータの問題に該当する「論理障害」のトラブルについて。
こちらは、例えば間違えてファイルやフォルダーを削除してしまったり、フォーマットで初期化のミスをしてしまう、
といったシステム上でのデータの消去が、特に多い論理障害の問題に当てはまります。
また拡張子のプログラムが破損したり、RAIDのディスクアレイが崩壊してストレージが読み込めなくなる問題、
ほかオペレーティングシステムの破損やコンピューターウイルスの感染でファイルが破壊される状態も該当します。
また、デバイスドライバにエラーが発生したり機器のアクセスエラーでボリュームが開かない状態も当てはまります。
これらの障害からのデータの復元に必要な費用は、各企業によって異なるのですが、
一例として、SSDやハードディスク、パソコンは10,000円~60,000円ほど、
USBメモリーやSDカードは、5,000円~30,000円ほど、といった具合の金額です。
中度から重度のアクシデントである「物理障害」とは?
続いて、全般的に中度から重度のデータ障害の状態に該当する「物理障害」のアクシデントについて。
こちらは、デジタルデータを保管してある電子機器やその補助記憶装置が物理的に故障するトラブルを指します。
たとえば、SSD(ソリッドステートドライブ)の差し込み口や内部の基板や半導体チップが、
電流の乱れなどで破損して、データにアクセスができなくなる状態が当てはまります。
またハードディスクドライブでは、外部のコントローラーボード(基板)が割れたりする損傷も起こりえます。
そして、HDDに内蔵されているデータを書き込むパーツの「プラッタ」(円盤上の磁気ディスク)が、
ヘッドという針のような形状のパーツと吸着して表面が削れてしまうヘッドクラッシュという損傷が代表的なトラブルです。
ほかに、自身では内部のSSDやHDDを取り出すのが難しい構造のパソコンといったマシンや外付けのケースが故障したり、
USBメモリやSDメモリーカードの差し込み口や基板、チップが損傷した場合も、同じく物理障害に該当します。
停電時のショートによる焼き焦げや水濡れ、水没、砂などの異物の混入といったトラブルの場合も同様です。
これらのデータのトラブルが出た際に、内部のファイルを取り出してもらう際にかかる費用は、
同じく例として、PC本体やそのSSDやHDDでは、30,000円~250,000円以上、
RAIDの装置やNAS、サーバでは、50,000円~1,000,000円以上、
スマートフォンでは、20,000円~300,000円以上、といった具合の価格です。
物理障害では、データの救出により専門的な設備と技術、またデリケートな作業が必要なため、
値段は高めになるのですが、保管してあるファイルやフォルダーがそのまま残っていて元に戻せる可能性も高いです。
RAIDやNASといった複雑な機器も、各機材に対応されたデジタルデータリカバリー様といった、
専門のデータ復旧サービスセンターに問い合わせて、内部のファイルを救出してもらうことができます。
壊れた機材や内部のストレージを扱う際の注意点とは?
次に、壊れて動かなくなった機材やその内部のストレージを取り扱う際の注意点について。
まず、上記のような物理障害が発生した際には電源を付けて通電するリスクが非常に大きくなってしまいます。
たとえばSSDに内蔵された基板が、電流の影響でショートを起こしてメモリチップが焼損して読み込めなくなったり、
異音が鳴った状態のHDDのモーターを回したら、ヘッドの吸着で更にディスクが削れて破損する危険が出てきます。
また、自力で取り出すのが難しい構造のデスクトップパソコンの電源ユニットやノートパソコンのバッテリー、
あるいはスマートフォンやタブレット端末の電池が破損している時も、通電はお控えください。
また、データ記憶装置は消耗品とも言える精密機器であり、少しの埃やゴミ、湿気や静電気が混入すると、
故障が悪化するリスクが極めて高いため、家庭で自力での分解作業はくれぐれも行わないようにしてください。
故障したストレージの修復やデータの取り出しには、クリーンルームという専用の設備環境下で、
専用の部品を使ったり特殊な設備で電子顕微鏡レベルによる精密な分解の作業が必須になるためです。
記憶媒体別でのファイル復活の金額の目安について
次に各種の補助記憶媒体別での、データファイル復活の作業における金額の相場のおおまかな目安について。
まずデータ復旧の作業は、ストレージの最大容量や内部の構造、そして障害の種類によって費用に差が出てきます。
一例として、USBメモリやSDメモリーカードは軽度の障害で5,000円~30,000円、重度の障害で50,000円~200,000円、など。
構造が複雑で時間を要するサーバやRAID、NASは、軽度の障害で50,000~200,000円、重度の障害で最大1,000,000円以上、など。
また、上記と同じくHDDのヘッドクラッシュやSSDの制御チップの破損は難易度が上がるため、高額になりやすいです。
スマートフォンやタブレットの落下による強打や水没などによる基板の故障も、重度の障害に該当します。
ほか、データファイルの救済にはやはり注文による依頼が確実?という疑問について詳しくは、こちらの解説にて。
また最初は軽度の論理障害でも、自身での復旧を試みてかえって状況が悪化するケースもよくあるためご注意ください。
データをリカバリーする際に代金が決まる要素とは?
次に、データをリカバリーしてもらう時の代金が決まる要素について解説いたします。
まず、同じSSDやハードディスクでも、たとえば最大容量が100GBほどの製品に比べて2TB以上の製品では、
データの検出にかかる時間が大幅に長くなるため、料金が高くなります。
中でもハードディスクを多重化した複雑なサーバやRAID、NASは、特にデータ救出の料金が高くなります。
また論理障害は、コンピューター上で復元の措置ができる比較的簡単な作業が多いのですが、
物理障害の場合は、クリーンルームで機材の分解の措置が必要で、代金は全般的に高額です。
ほか、各データ復旧業者様ごとの料金の形態によっても一律や容量、成功報酬型といった違いがあります。
また、Logitec データ復旧技術センター 様での、データ復旧の料金について の解説も参考までに。
例として、パソコンにある同じ容量のSSDやハードディスク、あるいは外付けHDDやポータブルSSDでも、
論理障害では数万円、物理障害では十数万円以上と、データの復元にかかる費用に違いが出てきます。
自力での対処のリスクと専門業者へ注文するメリットとは?
最後に、失ったデータファイルを自力で回復して対処する際のリスクと、
専門業者へ注文する場合でのメリットについて、まとめとして解説いたします。
ひとまずは自分で何とかしてみたい、と思われる方も多いのですが、ストレージの仕組みをよく知らずに、
うっかり余計にパーツに負荷をかけて破損を悪化させてしまう失敗が出るケースが少なくありません。
記憶領域の読み込みや通電を繰り返すと、残っているデータへの上書きや損壊のリスクが高まり、
また自力でのパーツの分解や修理の対応も、逆に異物の混入などで余計に破損させてしまいやすくなります。
そうなると結果として、かえって損傷が深刻な状態になり、さらに復旧の費用がかかってしまいがちです。
このようなリスクを回避するため、やはりプロのデータ復旧の業者への依頼するメリットは非常に大きなものです。
お値段はかかりますが、専用のラボにあるクリーンルームで、特殊な専門の機材を用いて、
プロのスタッフの方によって正確かつ高確率で、取り残されたデータを抽出してもらうことができます。