ハードディスクから異音が鳴り始めたら?

パソコンやサーバー、NAS、レコーダーなどのコンピューターに内蔵するデータ記憶装置や、
外付けのUSBデバイスとして使用している「ハードディスクドライブ」で、
いつの間にか異音(普段と違う変な音)が鳴り始めたら、どう対処すればいい?という疑問について。

パソコンの配置や内部の異物による異音の発生とは?

まず、パソコンから「ビイイー…」と一定のテンポで大きな稼働音が出ている時は、
モーターやファンの回転に合わせて、振動が出ているだけの場合もあります。

デスクトップパソコンのケースに何かケーブルや置物、壁がくっついていたり、
PC本体と下の置台の間に何か異物が挟まっていると、通電中に強い異音がずっと鳴り響くことがあります。

コンピューターの周囲を見回して、配置を少し変えてくっついている物を離してみると、
普段と違う稼働音が止まって静かになる場合もあります。

また、内部のCPUクーラーの冷却ファンや電源ユニットのファンと排気口に、
ホコリやゴミが詰まっていたら、きれいに除去します。

また、HDD(hard disk drive)の検査に対応された、
パソコン修理サポート店やデータリカバリーサービスも、チェックされてみることをおすすめします。



古いハードディスクから大きな音が出ていたら?

次に、だいぶ前に作られたIDE方式のハードディスクをお使いの場合、今のHDDの製品と比べて、
「ジー…」と稼働音が大きく鳴る場合があります。

最近のS-ATA方式のHDDやSSDはだいぶ静音に作られています。

なので、急にIDEのハードディスクを使うとその音の大きさの違いで、
故障につながる異音が鳴り響いているのではないか、と思い違いが起こる可能性もあります。

ですが、経年劣化で実際に回路に故障の問題が発生している可能性もあるため、まだ動くうちに、
念のため古いハードディスクのデータは、別の場所にバックアップをされておかれることを推奨します。

HDDの「S.M.A.R.T.」のモニタリングによる検査とは?

次に、それまでずっと静かにモーターが回転していたのにある時、
急に大きな異音が「ジジッ、ジジッ」と普段よりやや不定期な間隔で鳴り出したら、
何かハードディスクに異常が出てきた可能性もあります。

まだハードディスクが普通にデータを読み込みできるようであれば、そのHDDの製造元メーカーのホームページや、
ユーティリティーのダウンロードサイトから、たとえばVectorの、
HDD-SCAN ハードディスク診断といったディスクの検査ソフトをインストールして、一度検査をかけてみましょう。

HDDのメーカーの名前を調べるには、ドライブの表面に貼ってあるシールを見るか、
「BIOSの設定画面」や「ディスクの管理」の画面を開くとわかります。

また、ハードディスクの状況をチェックする「S.M.A.R.T.」(スマート)という、
報告機能を読み取って、残りの推移寿命や破損の具合をモニタリングして、
何かの障害が発生していないかどうかを確認したり、エラーの修復を実行することもできます。

すでに異音が鳴り始めたハードディスクのディレクトリの読み込みができなくなっていた状態の場合は、
電源を通して接続すると、さらに破損の状態が深刻になるおそれがあります。

そのため、それ以上は電源を通さないようにして、また重要なファイルがHDDに残っていれば、
プロのデータ復旧サービスにて取り出ししてもらうことを推奨します。



普段の動作と大きく異なる音が鳴り始めたら?

次に、表面のボード(パネル)にあたるコントローラーやケーブルの差込口にあたる、
コネクタが軽く破損しただけなら、Windowsで読み込めない状態でも、macOS/Mac OS XやUbuntu、
または他のコンピューターで、手間をかけずにデータを読み込みできる場合もあります。

しかしもっとひどく、「カタカタ…」「コトコト…」「キキキー…」「キコキコ…」
といった、何かが擦れたりぶつかるような異音がハードディスクから鳴っていると要注意です。

また、ハードディスクからカチカチ音が鳴り出したら?という疑問については、こちらのページにて。

たとえその時にはまだ何とか普通にHDDが開けていても、だんだん普段の稼働音とは違う、
変な音が大きく聴こえるようになり、しばらく放っておくと停止して、
ストレージのデータが読み込めなくなるおそれがあります。

内部のファイルのバックアップを作成

また、ハードディスクドライブのカートリッジの内部に密接に収納されている、
プラッタ(ディスクの円盤部分)にデータを読み取るためのヘッド部分が離れないまま吸着するような、
ヘッドクラッシュといった重度の物理障害で故障する可能性も高いです。

ケースの奥からかなり激しく、上記のような異音が出ている時は、
すぐに必要なデータを他のハードディスクやDVD-R、クラウドなどにすべてバックアップを取って保存してください。

またパソコンのCドライブから異音が鳴り始めて故障するケースに備えて、
オペレーティングシステムを、別のHDDに移し替えできるようにイメージディスクも作成しておきます。

そして、すぐにハードディスクを新品のものに交換して、データを移し替えて使い直すことをおすすめします。

データリカバリーのサービスで復旧をしてもらう

ですが、「カタカタ」、「コトコト」、というような異音が鳴り始めた段階ですでにHDDに致命的に、
重度の物理障害が起こっていて、バックアップを取る前にパソコンから開けなくなることもよくあります。

RAID構成の設定もしていなくて、どうしても中身のファイルが開けない時は、
それ以上HDDを無理に稼働させようとすると余計に内部の損傷が進行する危険があるため、一度電源を切ります。

そして機器から一度、激しい異音の鳴ったハードディスクを取り出します。

ハードディスクは物理障害で壊れた時に修理が難しい消耗品でもあります。

そのため、かわりにデータ復旧サービスセンターの事業に問い合わせて、
HDDの内部を開いて貴重なデータファイルを取り出してもらう方法もあります。

一般の個人では直せない磁気ディスクですが、専門のクリーンルームの中で部品を分解して、
高い割合で内部のデータ記憶装置からデータを抽出する形で、レスキューの作業を実行してもらえます。

また、急に故障しても自分で絶対にネジを外して開いて分解してはいけません。

設備がなければ、異物が入り込んで余計に壊れてしまうおそれがあります。

必ず専門のデータ復旧センターにて、復元の作業を行ってもらいましょう。