パソコンにあるファイルを一度削除して更にゴミ箱の中身も消してしまうと、一見、完全にデータが
失われたように見えるのですが、これは画面の表示上では消えているだけで、ハードディスクの未使用領域となった
クラスタの部分にはまだデータの痕跡が残っていまして、大抵はすぐには消えません。
ハードディスクドライブの記録を管理するファイルシステム(WindowsではFAT16・FAT32・NTFSなど)は
ディスク表面にあるセクタという512バイトおきの記録部分で構成されています。
更にセクタをまとめたクラスタ(ファイル・アロケーション・ユニット)が
ありまして、これらの領域にパソコンのファイルは順に書き込まれます。
未使用領域からの復旧
不要なファイルを削除すると、まずパソコンのシステムはHDDからデータを消す前に、
保存した部分を「未使用領域」に書き換える作業を行います。
この段階でしたら、ファイルシステムには削除した、という情報が
書き込まれているのですが、クラスタにはまだファイルが残っています。
なのでデータ復元ソフトウェアやデータ復旧サービスにてクラスタスキャンして、
まだ残存しているファイルを引き出す事が可能です。
新しいファイルの保存による前のデータの上書きの可能性
データを削除した後でのパソコン作業で、何かのファイルを作成またはセットアップして、
未使用領域になっているセクタ部分に書き込むと、前にあったクラスタのデータは上書きされます。
こうなってしまうとすでに痕跡がなくなっていてファイルの修復が難しくなります。
一度消したファイルを元に戻す場合はすぐに修復作業を行うべき、
というのは、HDDの構造がこういった仕組みであるためです。
またRAIDの外付けケースやNASのTeraStation、LinkStation、LANDISKなどの機器が壊れた場合は、内蔵されたハードデイスクを
取り出ししてパソコンで読み込もうとしても、記憶装置にフォーマットされたファイルシステムの形式が
WindowsやMac OS X/macOSに非対応で、データが読み込みできないことが多いのでご注意ください。
これらは、プロのデータ救出サービスで診断を受けて修復してもらわれるのが最も安全です。
手作業ではなくフォーマットやOSのリカバリー、RAIDのディスクアレイの再構築などでデータを
削除した場合も、まだプラッタ(カートリッジの内部のシリンダーに収納された円盤)のセクタの領域には
書き込みされた拡張子の痕跡が残っている可能性が高いため、内蔵・外付けHDDやRAID、NASなど
補助記憶メデイア内部のファイルをデータレスキュー業者の方で復元してもらうこともできます。
あまり何千、何万回、と新しくデータの書きこみをしていなければまだ
一度削除したファイルを修復できる見込みはありますので、データ復旧センターにて
補助記憶装置を提出してスキャンによるサルベージ作業を行ってもらわれることをおすすめします。