Windowsのパソコンで、オペレーティングシステムに不具合が出た際に復旧をするための、
「回復ドライブ」(recovery drive)を作成する時に間違えて、必要なデータが保存されている、
外付けハードディスクやUSBメモリ、SDメモリーカードなどを選択してしまい初期化が実行されて、
ファイルが全部消去された時にはどうすれば復元することができる?という疑問について解説いたします。
別の外付けHDDなどが回復ドライブになってしまう原因とは?

まず、予定と別の外付けHDDやポータブルSSD、メモリーカードが回復ドライブ化してしまう主な原因について。
たとえば、Windowsでコントロールパネルの「回復」を開いて「回復ドライブの作成」のコーナーに進み、
パソコンに接続したデータ記憶装置を選択する際に、アルファベットを間違えて選ぶミスがよくあります。
特に、同じメーカーで同じ最大容量のストレージを2つ以上USBポートに接続している時は間違えやすいです。
また一つのストレージ内のパーティションを分割して回復ドライブの作成をしても、区画が自動で統合されます。
そしてシステムに使うファイル領域を確保するために、既存のパーティションを強制的に消去する処理が行われて、
別のパーティションに保存していたデータファイルもフォーマット(初期化)により削除されます。
また、外付けハードディスクやスティックSSDと、USBメモリやSDカードが、同じリムーバブルディスクとして、
パソコンに認識されて表示されていると、誤って選択するトラブルが出やすくなります。
さらに、容量が大きいストレージほど、WindowsのOSが自動で推奨での対象として表示するケースもあります。
ほかに、ファイルシステムが破損したりMBR(マスターブートレコード)が変更されて、
通常のデータ保存用のストレージとしてコンピューターが認識しなくなるアクシデントのパターンもあります。
そうなるとシステム上では「回復」と表示されていて、ユーザー側では内部のデータを読み込めなくなります。
ですがここからでもまだ適切な対処を施すか、専門のサービスにてデータの復元ができる可能性があります。
以前にバックアップで保存したファイルを探してみる
まず基本的な対処方法として、パソコン上やスマートフォン、タブレット、別の外付けの記憶装置、
といった場所に、同じデータを以前にバックアップして保存していたかどうかをご確認ください。
また、インターネット上のクラウドストレージのサービスに手動でバックアップしていたり、
自動で差分の更新データが転送してあるかどうかも、サインインをして探してみてください。
ほかに、ホームページやブログ、SNSにアップロードしたテキストや画像、動画のファイルを、
今度は逆にパソコンやスマートフォン上にダウンロードする形で戻す方法もあります。
「回復」と表記されたドライブ装置が読み込めない時は?

次に、回復ドライブの作成の工程が完了した後のデータ記憶装置は、エクスプローラーの画面では、
「回復」と表記されていて、通常はこの状態でも内部のフォルダーやファイルを開くことはできます。
(中身自体は「EFI」「sources」「reagent」などの回復システム用のデータのみに変わった状態です。)
一方で、もしドライブ装置の読み込みのエラーが発生してボリュームが開けなくなった時は、
マスターブートレコードの損傷やファイルシステムの異常が発生しているおそれがあります。
この場合は、コントロールパネルの「ディスクの管理」の画面を開いて、
対象のドライブ装置のアルファベットの項目があって、「正常」と表記されているかをご確認ください。
ディスクの管理やエクスプローラーの画面で、ストレージの認識自体ができている時は、
ボリュームを選択して右クリックして、「ツール」タブの「チェック」でエラーの修復を試みてください。
macOSやLinuxでHDDやメモリーカードを読み込みする

それでも状態が変わらずアクセスできない時は、MacやLinuxといった別のオペレーティングシステムで、
外付けHDDやメモリーカードを読み込むと、自動で不具合から復旧することもあります。
もしくは、macOSの「First Aid」(ファーストエイド)といったドライブ修復の機能も使用されてみてください。
また、フォーマットの実行が可能な場合はそちらで正常にボリュームが認識できるようになる可能性があります。
ですが以前に保存していたデータが余計に元に戻しづらくなるため、状況によってはいったんお控えください。
どうしても回復ドライブのストレージが開けない時は、対象のHDDやメモリーカードを、
デジタルデータリカバリー様といった、データ復活のサービスを実施されたプロの事業に出して、
内部のファイルやフォルダーの取り出しをしてもらわれることをお薦めします。
MBRが破損した時の修復や、崩壊したパーティションテーブルの再構築にも対応されていて、
一般の個人ユーザーではなかなか実行不可能な処理を行ってもらうことができます。
初期化のミスで消去したファイルを後から復元するには?
次に、予定と違うストレージに回復ドライブを作成してしまったことによる初期化の動作で消えたデータを、
後から復元する対処の方法について解説していきます。
まず、フォーマットのミスで消去したファイルは、まだ通常は見えないセクタの領域に、
痕跡のデータとして残っている可能性があります。
この痕跡データは、後からファイルをストレージに保存していくと上書きされて消えていきます。
なので、初期化されたデータ記憶装置にはまだ何も新規でファイルを保存しないようにしてください。
ちなみにパソコン本体の不具合からの回復と個人用データの復旧の違いについて詳しくは、こちらの解説ページにて。
また、ストレージに通電する回数もなるべく最低限にとどめることを推奨します。
削除した拡張子をデータ復元ソフトで修復する手法

次に、初期化の動作で表示の消えたファイル群を自力で元に戻す方法は、
市販のデータ復元ソフトウェアを使用して、補助記憶装置のスキャンを試みる手法があります。
例として、ソースネクストから販売されています【救出データ復元】(Stellar Data Recovery)を使う時の手順を説明いたします。
まず救出データ復元のソフトウェアをWindowsで起動して、最初の画面の一覧にある、
ドキュメント、写真、動画、メールなどの復旧したいファイルの拡張子を選択して「次へ」をクリックします。
【回復】と表示された復元場所の項目にチェックを入れて、「スキャン」を押すと検出の動作が開始します。
「スキャンが完了しました」と表示されたら「OK」を押して、検出に成功したデータの一覧画面から、
元に戻したい必要なファイルにチェックを入れて、「復元」をクリックします。
修復するファイルの保存場所を「参照」で選択して、「保存する」をクリックするとデータが書き込まれます。
そちらのフォルダーを開いて、復元したデータが正常に開けるかを確認して、復旧の作業は完了です。
ほかに、BUFFALO 様での、外付けHDDのデータが消えた!?「回復ドライブの作成」にはご注意を の解説も参考までに。
またゴミ箱フォルダーを間違えて空にしてしまったりと、通常の動作で誤って消去したファイルも、
データ復元ソフトでドライブスキャンをして、復旧を試みることができます。
専門業者のデータ復旧サービスで元に戻してもらう

一方で、誤ったフォーマットで大量にファイルを消去すると、性能の高いデータ復元ソフトウェアでも、
どうしても何割かは検出に失敗したり、拡張子が破損した状態で修復されることが多くなります。
特に回復ドライブ作成時での初期化の場合は、回復システムのプログラムが同時に書き込まれるため、
以前のデータのプログラムの一部が上書きされやすくなります。
消えたファイルをできるだけ多く復活させたい時には、専門業者のデータ復旧サービスセンターへの依頼が、
やはり最も安全でかつ再現性の高い確実的な方法です。
また、回復ドライブを書き込みしたHDDやUSBメモリ自体が強打や水没、落雷でのショート、経年劣化などで、
回路が破損した時にも、内部のディスクやチップレベルで、中身のデータを抽出してもらうことができます。




