Windows(ウィンドウズ)といったオペレーティングシステムを使ったパソコンに、
OSの深刻な破損が発生してしまい、セーフモードやスタートアップ修復、システムの復元などの、
回復機能をひととおり試してみても、デスクトップまで起動できない障害が稀に起こりえます。
そうなると、PCに内蔵したハードディスクまたはSSDの中に保存していた、
貴重なデータが閉じ込められてしまい、バックアップがなかった時はさらに大変です。
ですが、そんな時にもOSの動かないHDDやSSDを開く方法があります。
例として、LinuxディストリビューションのKNOPPIX(クノーピクス)という、
インターネットやコンピューター関連の書籍の付録Discからインストールして入手できる、
Windowsとは別のオペレーティングシステムで、パソコンを開いてデータを取り出す手法があります。
しかしこの方法は、PCの初心者から中級者のうちは、実際にお手軽だと思ってやってみると、
意外といくつもの箇所でうまく起動ができずに、作業が難航する場合も多いです。
そんな作業進行中のトラブルが出た時は、主にどのような原因があり、
また状態の修復をするにはどういった対処の仕方がある?という疑問について。
目次
KNOPPIXを使ってデータを修復するには何が必要?
まず、DVDブートでOSを立ち上げてデータを修復するためには、4.7GBの容量のDVD-R、
またはDVD-RWやDVD+RW、DVD-RAM、BD-R、BD-REといったディスクメディアを一枚用意します。
(CDブート用のイメージングファイルもあるのですが、
できれば最近のDVD版のKNOPPIXを使った方が、性能の面で安定しやすいです。)
次に、インターネットがつなげられる環境の別のパソコン本体を一台と、内蔵または外付けのDVD/BDドライブ、
そしてファイルの保存に使う外付けHDDやRAIDケースなどの、データ記憶装置が一つ必要です。
※ですが、デスクトップパソコンなどの初心者の方には、OSをデュアルでセットアップして、
切り替えて立ち上げるような設定の手順が少し難しい点も出てきます。
予期せぬ操作の手順のミスによる、エラーの発生や故障を防ぐために、
データのサルベージを実施されているサービスに出して、修復の作業をしてもらう方法もあります。
インストールをしたはずが立ち上がらない時の原因は?
まずは、壊れていない別のパソコンを起動します。
次に、DVD-Rなどのディスクを一枚、ドライブのトレイに入れて、
クイックフォーマットを行って使用できるようにします。
クノーピクスは雑誌の付録や、KNOPPIXのウェブページなどで配布されています、
最新版のユーティリティーを入手して、解凍してみましょう。
例として、4.0GB以上の大容量の『knoppix_v~.iso』
といったISOファイルを、(DVDディスクではなくパソコンの方に)インストールします。
容量が4GBほどあって少し時間がかかるので、ある程度 待機します。
ここで間違えやすいのですが、最初にフォルダーに保存するISOファイルの状態では、
まだKNOPPIXをそのまま起動することはできず、デスクトップの画面が立ち上がりません。
DVD-RにISOファイルを直接焼いてしまうミスをされないように、注意してください。
もしくは、ファイルの書き込みに時間を要するため、データの保存に失敗してしまう可能性もあります。
その際には、再度クノーピクスのプログラムの保存のし直しが必要です。
ISOファイルを開いてOSを立ち上げる仕方は?
次に、パソコン上のフォルダー上に「.iso」のデータのダウンロードが済んだことを、
エクスプローラーからフォルダーを見て、確認してください。
そして、ディスクにデータの書き込みを行うために必要な、
専用の『CD/DVD/Blu-rayのライティングソフト』(writing software)を、
インターネットや市販ソフトのディスクからインストール・セットアップする必要があります。
※こちらの一例では、DeepBurner(ディープバーナー)というユーティリティーを使う仕方で進めます。
パソコンに「iso」のKNOPPIXのプログラムをインストール・セットアップして、
デスクトップにできたアイコンから、ライティングソフトを開きます。
最初に、「プロジェクトタイプの選択」のメニュー画面で、
「ISOイメージの書き込み」を選択して、「次へ」をクリックします。
(バルーンのメッセージは、OSのバージョンによってある程度変わることがあります。)
「Burn ISO#1」のメニューではまず、「イメージファイル」の参照例の右ボタンを押して、
「書き込むイメージを選択します」のバルーンから、『knoppix_~.iso』のファイルを選んで「開く」を押します。
「ドライブ」の項目で、内蔵/外付けのDVD/BDドライブが表示されていて、
「Additional parameters:」の項目で『Write』のチェックが付いているのを確認してください。
そして「ISO書き込み」のボタンを押すと、DVDディスクにプログラムの焼き込みが始まります。
クノーピクスのOSを起動するまでの手順
次に書き込みの作業が済んだら、トレイからディスクが自動的に出てきます。
これを取り出していったんケースに置いて、パソコンをシャットダウンします。
次の手順として、Windowsに問題が起きて起動できない方のパソコンの電源を付けて、
同時に先ほどKNOPPIXのOSを書き込みしたDVDディスクを、ドライブ装置のトレイに挿入します。
また、KNOPPIXでPC内のデータ回収を行う方法について詳しくは、こちらのページにて。
その際、電源ボタンを起動する前にインターネットの接続は念のため遮断しておきましょう。
もし、コンピューターウイルスに感染してWindowsが破壊された場合は、
この方法でデータを取り出しても、下手をするとまたそこから感染するおそれがあるので、
ワーム型プログラムへの対策を事前に行ってから、読み込むことを推奨します。
より確実には、プロのデータリカバリーサービスでデータを回収してもらうことも推奨します。
BIOS(バイオス)のメニューで起動する優先順位を設定
次にBIOS(バイオス)のロゴ画面で、指定の「Deleteキー」や「F2キー」を数回連打して設定画面を開きます。
ここで優先して起動する、ドライブの順位の設定を、メニューの中のHDDやSSDの名称から、
DVDやBDドライブの方を一番先に入れ替えて、ブート機能をセットします。
(または、F8キーのブートオプション選択画面でブルーレイないしDVDドライブを選びます。)
設定を保存してBIOSの画面を終了(EXIT)して、またロゴ画面に戻ります。
※ここから先の作業は、そのパソコン本体のスペック次第で進行速度に差が出ることが多いです。
例えばだいぶ古いWindows XPや2000、Me、98、95を使っていたPCで、メモリの容量やCPU、
マザーボードの性能が低いと、相当に読み込み速度が遅くなったり、場合によっては、
作業の途中でフリーズしたり電源が落ちてしまうおそれもあるので、ご注意ください。
そのまま待つと、ペンギンマークのKNOPPIXの画面が出てきますので、デスクトップの画面が開くまで待機します。
デスクトップの画面からファイルマネージャーを開く
次に、羽がたくさん浮かんだ青いデスクトップの画面と、その下側の一覧のメニューが表示されます。
左側にある「ファイルマネージャー」をクリックすると、
「KNOPPIX」という名称の、エクスプローラーに似たフォルダー一覧の画面が出てきます。
左のバーに、「ファイルシステム」というHDDの形のアイコンが出ます。
これを順に開いて見ていくと、ウィンドウズでのCドライブやDドライブ、
または増設したハードディスクやSSDにあたる、ボリュームの画面が開きます。
(エラーの画面が出た場合でも、そのまま「OK」を押すと開けます。)
そしてここから、必要なファイルやフォルダーを探して見つけます。
もしフォルダーにロックがかかっていて、解除するパスコードなどがわからない時は、
プロのデータレスキューのサービスにて、復旧の措置を行ってもらうこともおすすめします。
ボリュームを読み込みして外付けHDDなどにバックアップする
あとは、Windowsでのファイルのバックアップの手順と同じように、
外付けHDDやRAIDケースといった外部のデータ記憶装置を、USBコネクタから接続して読み込みます。
そして、そちらのボリュームを別窓のファイルマネージャーで開きます。
そこから必要なデータをコピー&ペーストなどで、
外部のストレージにファイルのバックアップを手動で取る形で、復旧できます。
データ回収の作業が済んだら、すべてのウィンドウを閉じまます。
そして、メニューの左下にあるアイコンの「ログアウト」を押して、
KNOPPIXとパソコンをシャットダウンして、データの取り出しの作業は完了です。
データ復旧サービスでHDDからファイルを取り出してもらう
しかし、パソコンのハードディスクドライブが深刻な破損の状態になっている時は、
KNOPPIXといった別のオペレーティングシステムでも、ボリュームが開けないことが多いです。
(軽いアクセスエラーが発生しているだけであれば、自動的に修復されることもあります。)
どうしてもストレージにアクセスできない時は、やはりプロのデータ復旧サービスに問い合わせて、
分解といった別の方法で、HDDの内部のファイルを取り出してもらわれることをおすすめします。